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映画『国宝』素晴らしすぎた


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【第1章:映画『国宝』との出会い】


先日、吉沢亮さん主演の映画『国宝』を観てきました。この作品は、歌舞伎の世界を舞台に、主人公・喜久雄が成長していく姿を描いた人間ドラマです。共演には横浜流星さん、高畑充希さん、寺島しのぶさん、渡辺謙さん、田中泯さんといった豪華な顔ぶれが揃っています。原作 吉田修一 さんの小説を李相日監督が映画化したもので、李監督はこの作品を吉沢亮さんが主演をやるなら映画化する。と、もし彼が演じないなら映画化もない。という思いで吉沢亮ありきで制作が始まったそうです。

普段、私が映画を観ても、なかなかパンフレットを手にすることはありません。どうしても、管理が苦手で買わないことが多いのですが、今回の『国宝』は鑑賞後、どんな思いでこの作品が作られたのか、監督や脚本家、映像や美術スタッフを含めた裏方の方々の声を知りたくなり、何十年ぶりかにパンフレットを購入してしまいました。それほどまでに、心を揺さぶられる感動を与えてくれた作品でした。

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【第2章:舞台に立つ瞬間の衝撃】


映画の中で特に印象的だったのは、吉沢亮さんと横浜流星さんが演じるキャラクターたちの初舞台のシーンです。彼らが舞台に立った瞬間から震えるほど感動し、吉沢亮さんの美しさだけでなく、その演技力の素晴らしさに圧倒されました。喜久雄がまさに“天才”と呼ばれる所以が、このシーンに詰まっていたと思います。二人とも本当にすごくてよくここまで、歌舞伎の歩き方、(あの習得だけでも多分何年もかかるはず。)吉沢亮さんと横浜流星さんの舞台上での視線、指先の動き、たたずまいに至るまで女形。国宝が命はてる間際に見せた迫力の眼差しは本当に心を撃ち抜かれました。

二人は映画撮影の前から合わせて1年半、歌舞伎の稽古に打ち込んだそうです。

また、田中泯さんが演じる女形の国宝の存在感や、細やかな表現も心に深く残りました。舞台を降りた後の田中さんの演技も本当に女形。話し方そぶり、表情。長年積み重ねたものが滲み出ていました。田中泯さんといえば、前衛舞踊家として世界でも活躍される異端の踊り手として有名ですが、その世界での積み重ねたオーラが、歌舞伎の国宝としてのオーラに映されていたように感じます。


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【第3章:老いてなお舞台に立ちたいと願う心】


渡辺謙さんが演じるキャラクターの若かりし頃と、年老いて視力を失い、よぼよぼになりながらもなお舞台に立ちたいと願う姿。その対比が見事で、時の経過を感じさせる演技に深く感銘を受けました。

人は老いてもなお、何かに向かう情熱を失わないということ、それがどれほど尊く美しいかを改めて感じさせてくれたシーンでした。

渡辺謙さんの若くてイケイケな厳しい師匠としての振る舞いと、年老いた時の演技が素晴らしくて、本当に同じ人かしら?と思うほど、年齢を重ねた姿は老人に見えました。


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【第4章:「曽根崎心中」が描く命の芸】


『国宝』の中で特に印象的だったのは、「曽根崎心中」の演目が何度か登場したことです。実は、私にとって「曽根崎心中」は、過去にもいくつかの形で触れてきた大切な作品です。たとえば、20代の頃に観た文楽座の人形浄瑠璃版「曽根崎心中」、そして宇崎竜童さんと阿木燿子さんご夫妻が手がけた鍵田真由美さんのフラメンコ団体による「フラメンコ曽根崎心中」など、さまざまな形でこの物語に触れてきました。

また、北野武監督の映画『Dolls』も「曽根崎心中」をモチーフにしており、そういった背景を知っているからこそ、今回の『国宝』で描かれた「曽根崎心中」のシーンはとても意味深く感じられました。まるで、歌舞伎の世界と“心中”するかのような、命をかけた芸の道を象徴しているようで、その重みを強く感じました。



【第5章:制作チームのこだわり】


とにかくこの作品は映画館で見ないと勿体無い。という印象でした。この1枚絵にしたくなるような映像美、画角、そして音に至るまで、すべてにこだわりが感じられました。

歌舞伎の名門女将役の寺島しのぶさんが仰っていましたが、李監督は「とにかくたくさん撮る。」となので、制作チームも演者さんも皆さん体力勝負のような撮影現場だったようです。きっと、その精魂尽き果てる限界まで撮影してそのエネルギーや表情を収めることでリアリティが増すのだろうなと感じました。

私は音楽家なので、音にも注目してしまいますが、「うわ〜〜、ここでチェロのサウンド来るのか〜〜!なんでこっちが今欲しい音がわかるの?」と効果的なサウンドにも毎度感歎しておりました。

制作チームも、李監督、撮影はチュニジア出身のソフィアン・エル・ファニ、音楽 原麻利彦、美術監督 種田陽平(キル・ビルなど)素晴らしいチームワークで制作されている作品だなと感じました。



【第5章:降りてきた光 ― エンディング曲『Luminance』】


そして忘れてはならないのが、エンディングで流れた『Luminance』という曲です。吉沢亮さん自身も、「この作品に合う曲があるのかな?」と思っていたとインタビューで語っていましたが、私もいわゆる有名なアーティストたちの手がける映画のエンディングJPOPでは合わないことは間違いないと思いました。李監督の注文を受けて仕上がったこの楽曲は、まさに作品を締めくくるにふさわしい一曲でした。

映画の終盤この曲が始まるのですが、光が降りてくるような感覚を味わいました。この曲が流れることで、物語の余韻がさらに深まり、観終わった後もしばらく動けなかったほどです。まさに“光が降りてくる”楽曲でした。

しかも、驚いたのはこの声が男性の声であったこと。

King Gnuの井口理さんの声だったのです。それは、女性の声と思わせるもので更には人間を超えた存在の声に聞こえました。

歌舞伎の女形も男性が女性を演じることに生涯を捧げるように、歌も女形とシンクロしていました。

吉沢亮さんも仰ってましたが、この作品にはこの曲以外に有り得ない。と思いました。


【第6章:おわりに】


『国宝』は、単なる芸の物語ではありませんでした。そこに生きる人々の魂、人生、愛と葛藤、そして「表現する」ということの美しさが詰まっていました。

珍しく、もう一度観にいこうと思っています。

この作品を制作した方々が、そして主演の吉沢亮さん横浜流星さんが命をかけたんだなというのが画面を通して伝わってきて、この作品が、これからも多くの人の心に届いていくことを願っています。そして、映画館でこの作品と出会えたことに、心から感謝しています。


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